博多が「日本のリバプール」と呼ばれていた1973年(昭和48年)当時、福岡で人気ナンバーワンを誇る一組の若いロックバンドが存在していた。

それが、"幻の博多ロックバンド"「Milk(ミルク)」だ!

今から35年前、「めんたいロック」「めんたいビート」などという言葉が生まれるずっと以前の"博多ロック創生期"、当時時代を先取りしたビジュアルセンスと鮮烈なロック感覚で、博多に一大センセーションを巻き起こしていたバンドである。

時代はまさにフォークブーム全盛。にもかかわらず「Milk」は博多のロックバンドとしては大変珍しく、女子学生からも絶大な人気を誇り博多ロック創生期の福岡のミュージックシーンで数々の逸話や功績を残していた。ただ、彼らは結成から解散までの期間がわずか1年7ヶ月と短かったこと、そして地元福岡での活動期間が1973年の約1年であったことから、「Milk」の名がその後の博多ロック史に刻まれることはなかった。

しかしながら、福岡のミュージックシーンでその約1年間の間に「Milk」をリアルタイムで観た博多ロックファン、そして「対バン」、コンサートなどで競演したことのある当時の人気バンドや音楽関係者などの間では、そのあまりにも衝撃的だった存在やロックマナーは、35年経った今でも「博多ロック創生期のMilk神話」として語り継がれているという。

その「Milk」が約35年ぶりに再結成され、先日九州大分で一夜限りの復活ライブが行われた。当時のメンバー全員が集まることはできなかったものの、会場には福岡で青春時代を過ごしリアルタイムで「Milk」を観たファンも多く駆け付けたという。

その会場に、ファンの一人から一本の古いテープが届けられた。

「Milk」が35年前に福岡市博多区中洲のダンスホール「赤と黒」に出演していた時、偶然にも収録されていた「完成前の日本語によるオリジナル全8曲」を含むリハーサル音源だった。

あれから長い歳月が経過し、メンバーのほとんどは音楽業界から身を引きそれぞれの道を歩んでいること、そしてリードギターが参加できなかった理由から35年ぶりの復活ライブ自体、当時を彷彿とさせる出来にはほど遠い内容だった。

しかし、そのテープから聴こえてきたのは、まさに1970年初頭を彷佛とさせる野太いビンテージサウンドでグイグイ押しまくる、「これぞ博多ロックの神髄!」というべき35年前の「Milk」の姿だったのだ!

このウェブサイトは、その会場に駆け付けた「Milk」のファン、そして久しぶりに集まったメンバーや音楽関係者からの情報と昔の記憶をもとにまとめ、制作されたものです。

そして、一本のテープに収録され今日まで35年間眠っていた「Milk」の「赤と黒」での貴重な音源をお聴きいただき、当時をふりかえることで今まで伝えられたことのなかった「博多ロック創生期のアンカバードストーリー」をここでご紹介したいと考えています。

最後に、このウェブサイトをきっかけに"幻の博多ロックバンド"「Milk」をで知る方々からご協力いただき、さらなる情報や音源の発掘ができればと願っています。